引用があるのに間違う理由|RAG回答のfaithfulness確認

公開日
2026-06-27
更新日
2026-10-19
情報確認日
2026-09-17
編集・運営
Local AI Compass

引用がある回答は便利ですが、正しさの保証ではありません。確認するべきは、引用先が存在するか、回答がその引用範囲に忠実か、元PDFの数字や条件と一致するかです。

導入前に確認すること

  • Windowsのバージョン、メモリ容量、GPU/VRAM、空き容量を確認する
  • 最初は軽量モデル、短い質問、少ない同時作業から始める
  • 公式サイトの対応OS、利用規約、モデルのライセンスを確認する

OCRの座標・confidenceとRAG引用は同じ証拠IDで結ぶ

OCRの出力は文字列だけではありません。Windows AI Text Recognitionは文字・行・wordと四点のpolygonal boundaryを返し、DoclingDocumentはlayout bounding boxとprovenanceを扱えます。これをRAGの引用番号だけへ潰すと、元画像のどのページ・領域・版から回答が作られたかを再確認できなくなります。

OCRの座標・confidenceとRAG引用は同じ証拠IDで結ぶの表
段階保持する証拠引用確認で分かること
OCR原本画像、page/image ID、text、word/line bboxまたはpolygon、confidence、rotation数字・型番・表セルの場所へ戻れるか
抽出・chunksource revision、page、reading order、chunk ID、抽出JSONと表示用textOCR結果がどの断片へ変換されたか
retrievalsource ID、document ID、page、metadata、score、取得chunk検索された根拠が質問に対応するか
回答・citationclaim、source ID、page/snippet、検証状態引用の存在と、主張が根拠を超えていないか

Open WebUIのexternal knowledge sourceはchunk text、title、source、URL、document ID、page、extra metadata、relevance scoreを個別にmappingします。これはcitationのjoin keyを作る材料ですが、OCRのconfidenceやbboxが自動的に回答の正しさや画面上のword highlightへ変わるという意味ではありません。DoclingのJSON/provenanceやTesseractのhOCR/TSVなど、座標を含む中間成果物は表示用Markdownとは別に保持します。

  1. 原本PDF/imageとOCR raw outputを保存し、document revisionとpage/image IDを先に固定する。
  2. 回転、座標のorigin、pageサイズ、bbox/polygonの単位を正規化し、OCR文字から抽出text・chunkへの対応を記録する。
  3. 再インデックス後もsource ID・page・chunk IDを追跡し、引用が別ページへずれていないか確認する。
  4. 回答の各claimをsource ID・page・snippetへ分け、数字・単位・型番はbboxまたは元画像へ戻って照合する。
  5. confidenceが低い、座標が欠落する、pageとchunkの対応が切れる場合は、引用済みと断定せず再OCR・再抽出・人間確認へ戻す。

OCR confidenceは認識結果の推定であり、retrieval scoreは検索順位の指標です。どちらも回答のfaithfulnessや事実性そのものではありません。引用番号、ページ番号、座標、元画像の一致を別々に確認できた時だけ、根拠の場所を検証できたと判断します。

factualityとfaithfulnessを分ける

factualityは事実として正しいか、faithfulnessは検索された根拠に沿っているかです。回答が一般知識として正しく見えても、引用されたPDFの根拠とはずれている場合があります。

版・抽出・生成のどこで引用がずれたか

Ragas Faithfulnessは、回答のclaimが検索されたcontextに支持されるかを見る指標です。検索が古い版を選んだか、OCRや抽出が原文を誤ったかまでは、contextとの一致だけでは確かめられません。

次は説明用に作った架空例です。現行の会議室ルールv2は印刷ページ3に「会議室Aは1回30分まで。1日に2枠まで予約できます。」とあり、PDFビューアの通しページでは5ページ目(1始まり)に表示されるものとします。chunk IDは `room-v2-p3-c01`、旧版v1の印刷ページ3には「会議室Aは1回60分まで。」とあります。質問は「現行の会議室Aは1回何分まで予約できるか」です。

版・抽出・生成のどこで引用がずれたかの表
架空の状態回答とcontextの関係分かること次に確認する箇所
v1を検索し、回答が「60分」回答は検索contextに書かれている現行版を問う質問には古い版の答えsource revisionとindex更新元
v2原本は30分、OCR chunkは80分、回答も80分回答は誤った抽出contextに沿っているcontextとの一致だけでは原本の転記精度は分からない元PDFの同じ版とOCR・抽出結果
v2の正しいchunkは30分、回答は60分回答claimが検索contextに支持されない生成回答または引用範囲のずれclaimごとにchunk本文と回答を照合
回答は30分だが、印刷ページ3とビューア5ページ目が違う内容と引用位置を別に確認する必要があるページ表記の差だけでは本文の正誤は決まらない同じ原本revisionで両方のページ表示を記録

この表は架空の手作業例で、実在PDF・アプリ・モデル・Ragasを実行した結果ではありません。ここではRagasの数値スコアも示さず、評価値を正しさの保証として扱いません。印刷ページとビューアのページ差に一律の加算・減算を当てず、原本を開いて位置を確認します。

  1. 質問に対する各claimを短く分け、どの引用文が支えると回答しているかを記録する。
  2. source IDとrevisionを確認し、質問が求める現行版と検索対象が同じかを見る。
  3. 印刷ページ表示とPDFビューアの通しページ(1始まり)を両方控え、同じ原本revisionで該当箇所を開く。
  4. `room-v2-p3-c01`のようなchunk IDから抽出済み本文へ戻り、OCR・抽出テキストが原文と一致するか比べる。
  5. 最後に各claimをretrieved contextと照合する。原文・抽出・検索・回答のどこで差が生じたかを分けてから、その担当工程へ戻る。

引用確認チェック

引用確認チェックの表
確認項目OK注意
引用箇所が存在する元PDFで同じ文を確認できる引用番号だけ出ている
回答が引用範囲を超えていない引用された範囲内で言える根拠にない結論を足している
表や数字が一致する数値・単位・日付が同じ桁、単位、年度がずれる
複数資料が混ざっていない資料ごとに分かる古い資料と新しい資料を混ぜる
分からない時に分からないと言う不明点を保留する無理に補完する

よくあるズレ

確認プロンプト例

  • 回答の各文について、根拠となる引用箇所を分けてください。
  • 引用範囲に書かれていない推測を別欄にしてください。
  • 数値、単位、年度を元PDF表記のまま抜き出してください。

よくある質問

faithfulnessとは何ですか。

回答が検索された根拠に沿っているか、根拠にない内容を足していないかを見る考え方です。

引用番号が出れば安心ですか。

安心とは言えません。引用範囲と回答文を元PDFで照合します。

引用確認は毎回必要ですか。

重要な判断、数値、契約、社内資料では必要です。軽い下読みでも、最初は確認手順を作ると安全です。

OCRのconfidenceが高ければRAGの引用も正しいですか。

いいえ。confidenceはOCR認識の推定で、引用の正しさや回答のfaithfulnessではありません。source ID、page、snippet、元画像の座標を別々に照合します。

Open WebUIのcitationにOCRのbboxは自動で入りますか。

自動で入るとは判断しません。Open WebUIのRAG設定でsource、page、metadata、scoreのmappingを確認し、bboxやconfidenceはOCR・抽出側で保持してcitationとの対応を検証します。

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